日本精神分析学会第59回大会(京都国際会館)
研修症例
見せかけの関係を生きる女性との心理療法過程
慢性的な吐き気を主訴とする女性との心理療法過程において,彼女は症状の改善を報告したが,治療者には治療関係がうわべだけになっているように感じられた。そのことを指摘すると彼女は孤独感を強め,体調不良を訴えた。その後,逆転移として浮かんできた映像を手がかりに解釈することによって,彼女は見せかけの関係を自覚し,秘められた母への怒りを意識した。見せかけの姿という言葉は,自分を閉め出す破局的な恐れを引き起こしたが,そこにとどまることによって考えるスペースが形成されたと考えられた。