Bion,W.によって提唱されたコンテイナー/コンテインド・モデルは,精神分析過程を示す中心的概念となっている。本稿では自己愛的な万能感によって自分を支えていた女性との3年9ヶ月の精神分析的心理療法を報告し,クライエントによって投げ入れられた感情を治療者が「受け容れ,消化し,修正する」というコンテインメントの過程において,二者が互いの利益のために依存し合う「共生的symbiotic」関係から,2つの対象が第三者を共有し,三者それぞれの益となる「共存的commensal」関係へと性質が変容する過程があることについて考察した。